『借金を返すと儲かるのか?』

借金を返すと儲かるのか?

借金を返すと儲かるのか?

"404 Blog Not Found"にて紹介されていた著作。
会計の基本的な考え方と、一般社会人にとっての捉え方が、極めて簡潔に纏まっている。
すぐに読めて、得るものは大きい。「基本」だけれど、本質的だ。
例えるならば、パスにおける肘や腕の使い方の基本ではなくて、
「マークのいない味方に放る」というパスの本質を教えてくれるような。
非常に良い著作です。

『経済成長って何で必要なんだろう?』

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

経済学者の飯田泰之さんと様々な論者との「経済成長」を切り口とした対談。
基本的な主張はシンプルで、日本が抱える多様な問題を解きほぐすためには、
経済成長が必要だ、という一点に尽きる。
飯田さんのポジションは極めてシンプルかつ明確で、論旨も分かりやすい。
そして、経済成長の必要性云々もそうだが、
飯田さんの依拠する思想的立場というか、彼の信条もまたシンプルだ。
要するに、基本線として「自由」に重きを置く立場で、これ自体には全く同感。
こう書くと「新自由主義」的なレッテルで判断されそうだけれど、
飯田さん自身、定義も定かでない「新自由主義」の批判などではなく、
現実の世界に対処するための具体的な方法論を議論したい、と言っている。
これもまた、素直に同感するところです。

ちなみに、湯浅誠さんとの対談はなかなか興味深い。
『反貧困』は未読だけれど、湯浅誠という人間を多少誤解していたかも。

まんがで読破シリーズ

資本論 (まんがで読破)

資本論 (まんがで読破)

続・資本論 (まんがで読破)

続・資本論 (まんがで読破)

わが闘争 (まんがで読破)

わが闘争 (まんがで読破)

蟹工船 (まんがで読破)

蟹工船 (まんがで読破)

4冊まとめて読破してみました。
当然ながら、これは『資本論』でも『わが闘争』でもない。
資本論』のエッセンスが凝縮されているのかどうかも正直怪しいと思う。
ただ、『資本論』のある側面は分かりやすく示されているかもしれない。
そもそも『資本論』を生涯で1度でも読破する人間など極めて少数なのだから、
ある意味ではアリな路線だろうなと思います。

『お金と生き方の学校』

お金と生き方の学校 (新しい社会のための教科書)

お金と生き方の学校 (新しい社会のための教科書)

投資家の新田ヒカルと6人の識者との対談集。
小飼弾さんが読みたくて買ったのだけれど、期待を裏切らず興味深い内容だった。
この著作の良いのは、新田ヒカル自身を加えた7人の識者のスタンスが、
必ずしも一致していない(むしろ、幾つかの点では見事に相反している)点だね。
違う立場の人間が、それぞれに自身の立場を言い切っていて面白い。
その中でも、小飼弾小幡績小池龍之介との対談は一読の価値が十分あります。

『みんなのなやみ』

みんなのなやみ (よりみちパン!セ (01))

みんなのなやみ (よりみちパン!セ (01))

重松清さんという作家は、とてもやさしい人だと思う。
子供のストレートな悩みに対して、素直に向き合っている感じが、すごくいい。
ちょっと意外だったのは、ピアスホールをあけたい女の子に対して、
ダメと言い張るお母さんの側に(一定の前提を置いた上で)立っていたこと。
良し悪しではなくて、意外な感じがした。
おれなんかは、個人の自由に基本的に委ねればいいかなと安直に思ってしまうけれど、
ピアスホールひとつも、突き詰めていけば「身体」という大きな問題になるのだなと。

『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』

成毛眞さんのblogにて紹介されていた著作。
おれの英語力だと、かなりの数の問題を間違えてしまう。
読めているつもりでも、思った以上に読めていないのだなあと・・・。
気難しく考えずに、手に取ってみると良いと思う。
とても勉強になります。

『すべての男は消耗品である。 Vol.10 大不況とパンデミック』

すべての男は消耗品である。 Vol.10 大不況とパンデミック

すべての男は消耗品である。 Vol.10 大不況とパンデミック

村上龍さんの人気エッセイ。
新刊が出る度に即買いして読んでいるが、やはり面白かった。
正直なところ、前回のVol.9『すぐそこにある希望』よりも充実していると感じた。
基本的に、ここ数年の村上龍さんは一貫して同じことを言い続けていて、
おれなりに解釈するならばそれは、
「戦後の高度成長期から連綿と続いてきた文脈で、現代の『幸福』や『希望』を語ることはできない」
ということだと思うのだけれど、まさにその通りの状況が日々起きているよね。
ある意味絶望的な状況が浮き彫りにされて暗澹たる思いもしてしまうけれど、
示唆に富む指摘が多いのは確かです。

ちなみに、消耗品シリーズは基本的に外さないのでお勧めです。
全く読んだことのない人には、まずは『ハバナ・モード』あたりがいいかなと。