『「ビジネス書」のトリセツ』

「ビジネス書」のトリセツ

「ビジネス書」のトリセツ

最近、ビジネス書を読む機会が増えた。
そういえば以前、学生時代のラグビー部のある先輩も、集中的にビジネス書を読んだ時期があったと言っていた。
自分自身はビジネス書に傾倒している訳ではなくて、読書量に占める割合が増えたと感じる程度だけれど、仕事を続けていると、自分のスタイルや方法論について、疑問や不安や危機感を非常に強く持つ時期というのが、やはりあるのかもしれない。勿論、特定の時期を問わず、自身のスタイルは必要に応じて壊せばよいし、そういうハングリー精神や向上心はあって然るべきだと思うし、更に言えば、その行き着く先が「ビジネス書」だとは必ずしも思わないけれど、当著作の中で著者の水野さんも書いている通り、良質のビジネス書は端的に面白い、というのは紛うことのない事実だ。
ただ、書店に平積みされた話題作に踊らされる前に、当著作は読んでおいて良いかもしれない。
読む必要性を全く感じない著作というのも本当に多いので、その意味では当著作は十分信頼に足るガイドだ。

『国語 算数 理科 しごと』

国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」

国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」

またもきっかけは小飼弾blogだけれど、この手の著作は、こういった良質のblogを活用しない限り、そもそも巡り合うことが困難だ。大型書店を除く街の一般書店には入荷されていないし、八重洲ブックセンターでも教育の専門書コーナーの非常に分かりづらい場所に並んでいたくらいなので、普通に書店通いをしていても目に留まることはまずないと思う。
当著作は『借金を返すと儲かるのか?』の入門編のようなもので、読者層として少年少女を想定しているので、端的に読み易い。それでいて、内容は十分に本質的で、「会計」に苦手意識を持っている社会人にとっては、格好の入門書になると思う。
ただ、個人的に興味深かったのは、やはり最終章だ。
必ずしも好きではなく、楽しい訳でもなかったりする「仕事」に、人生における非常に多くの時間を割いて、熱意と責任感を持って向かっていく。その本質には、「約束と信用の交換」があるのだと。
この指摘は非常に重要で、かつ正鵠を射たものだと思います。
パートナーにも、この最終章は読んでみてもらって、感想を聞いてみたいです。

『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?』

久しぶりに行った八重洲ブックセンターで偶然見かけて、何となく買ってみた。
正直な感想として、内容が濃いとは思えないが、マニフェストに関する良い指摘があった。
著者は、政権与党たる自民党については、過去(前回もしくは前々回)のマニフェストこそ読む価値があると言う。
もう少し正確に言うと、自民党/民主党が合理的に選挙対策を考慮すれば、必然的に両党の政策が近似していく為、基本的にマニフェストなど読む価値がないが、それでも読むならば、野党については構想を、与党については実績を評価するのが良い、というのが著者のスタンスだ。言われてみると至極当然の指摘に感じるが、著者自身も書いているように、マスメディアの報道スタンスとしても過去のマニフェストに基づく政策立案の実績評価という観点は、一切見られない。
結局のところ、マニフェストは約束でも何でもない、ということになってしまうよね。

『世襲議員のからくり』

世襲議員のからくり (文春新書)

世襲議員のからくり (文春新書)

各方面で非常に話題となった上杉隆さんの著作。
非常に面白いので、選挙前に是非。
Amazonの書評には手厳しいものもあったが、読む価値は十分あります。
議員世襲の議論は、職業選択の自由の観点からの反駁に一定の理があるものかと
シンプルに思い込んでいたが、そんな悠長な認識ではマズイとよく分かった。

『日本農業のゆくえ 』

日本農業のゆくえ (岩波ジュニア新書)

日本農業のゆくえ (岩波ジュニア新書)

学生時代に買った本だけれど、実家の書棚から引っ張ってきた。
当時はきちんと読まなかったなあ。
これは岩波ジュニア新書ではなくて、岩波新書でもいいのではないか。
今読み返してみて、素直にそう思ったりします。
新書隆盛の昨今、ジュニア新書にもならないチープな著作も多いけれど、
当著作の問題提起は、基本的であり、今なおも問題として在り続けているものなので。

『減らす技術 The Power of LESS』

減らす技術 The Power of LESS

減らす技術 The Power of LESS

どうも最近は"404 Blog Not Found"に猛烈な影響を受けているのが見え透いているけれど・・・。
この著作について言うと、特別感はない。
ただ、「特別でないこと」をきちんとやり抜くことが、ある意味で特別なのだと思う。
1時間もあれば読めてしまい、かつ読後には無性に大掃除をしたくなる。
これだけでも買う価値があったというものです。
ただ、著者の言う「シンプル化」において最も難しいのは、シンプルな「ゴール設定」です。

『アイの物語』

アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)

実はSFは殆ど読まないのだけれど、これは評判に違わぬ好著だった。
随分若い頃に読んだ数少ないSF作品と比較すると、ここまで来ているのかと驚いてしまう。
AI(人工知能)を素材としながら、人間そのものの本質を鋭く描写してみせるスタイルは凄いです。